本物件は東京メトロ南北線・都営大江戸線「麻布十番」駅徒歩８分、南北線「白金高輪」駅徒歩10 分に立地しており、東京都内の中でもいわゆる、高級住宅街にあたります。このような高級エリアにおけるレジデンスは当時海外からも投資用物件として非常に注目を集めていたため、海外投資家への一棟売却を目指し事業計画を進めてまいりました。
商品の企画段階では、容積緩和を受けつつ専有面積の増加を図った「地下住戸案」、「ワンルームマンション案」、「DINKS 案」、「店舗付ワンルームマンション案」等、様々な模索検討を行いました。その中から収益性（賃料収入）が最も高くなると想定される「店舗付ワンルームマンション案」を採用しております。
また店舗に関しては、住宅地からの集客を新たな需要と考えるコンビニエンスストアを誘致するため、コンビニの通常営業が可能な坪面積を最低限確保しました。
同時に売却活動もしておりましたが、以前当社の物件を２物件購入していただいた海外の投資家が好感触であったため、買主候補として先に決め、彼らの注文を聞き入れながら設計を進めて行くという当社としては初めての事業スキームとなりました。なお住戸内については通常のワンルームマンションの設備仕様よりスペックアップさせることで、高級エリア志向の入居者が満足できるような室内とし、早期の満室稼働を図っております。

本物件は注文建築型投資用マンションとして、売却先の意向と日本市場とのすり合わせからスタートしております。
まず外観デザインについては、売却先の意向を取り入れアースカラーをベース色とした落ち着きのあるマンションを目指しました。茶系のタイルのほかにアクセント色として黒系のタイルを随所に取り入れるとともに、建物妻側の外壁には四丁掛けのレンガ調タイルを採用することで高級感を演出しております。
また間口の広い道路面からのファサードを強調させるため、等間隔に列柱のような化粧マリオンを配置しております。さらに１階部分の外壁には黒御影石を基壇に見えるよう貼り込むことで、建物全体に重厚感や安定感が生まれるように工夫しました。
プランニングについては、用途地域別の高さ制限を順守しつつ効率的な容積消化を目指すため、９階棟と５階棟からなる羊羹型のシンプルで経済的な配棟計画としております。また１階部分では道路交差点付近に店舗を配置することで、集客性に配慮しました。なおエントランスについてはホール上部を吹抜けとすることで開放的で豊かな空間が作れるように工夫しております。
外構については、花壇壁面に南安錆のコブ石調御影石を貼ることで、建物外壁との一体感を演出するとともに重厚感をより強調できるように工夫しました。植栽についても常緑樹木をふんだんに取り入れ、樹木どうしの高さにも緩急をつけることで、自然との調和を図りつつ有機的な植栽演出ができるように工夫しました。
維持管理体制については、植栽の花壇内部にタイマー式自動散水装置を設置するとともに、共用部照明には自動点灯方式を積極的に採用することでメンテナンス性に配慮しました。

本物件については、既に当社の物件を２物件購入済みの海外投資家と土地の仕入れ段階から打合せを行っておりました。その過程で顧客からデザインに関する様々な要望が出てきたため、当社の物づくりに対するこだわりを取り入れつつも顧客満足度を最大限まで高めた商品となるように努力しました。その結果、賃貸マンションでありながら大手デベロッパーの分譲マンションに負けない充実した設備仕様、高級感のある共用部・外観を持ち合わせたマンションを完成させることができたと考えます。
また住宅街でありながら物販店舗を誘致することで、物件の収益性を高めることに成功しております。このようにハード面だけでなくソフト面でも魅力的な物件に仕上がったことで、エンドユーザーである賃貸入居者への賃料も高く設定することができました。その結果、顧客にも高い評価をいただき、周辺物件の市場価格よりも高価格で購入していただくことが可能となりました。よってマンションのグレードアップに掛かる建築コストは売却価格で十分吸収され、当社としても大幅に収益性の向上を図れた事業になったと考えます。
なお本物件の周辺環境は住宅街であるため既存店舗が少なく、周辺住民が日用品購入の際は幹線道路まで出なくてはなりません。そのような場所に物販店舗を誘導したことで、建築工事中にも周辺住民からは店舗導入について歓迎の旨の言葉を何度もいただいております。これにより建築物の周辺地域への貢献度についても優れた効果が出せたのではないかと考えます。