全住協は、平成 28 年 10 月、第7回優良事業表彰の募集を行いました。 この表彰制度の目的は、「優良なプロジェクト(事業及び企画・開発)を実施した会員を表彰することにより、良質な住宅供給及び住環境の整備を促進し、もって住宅・不動産業の健全な発展と会員の資質向上に寄与すること」にあります。表彰部門は、(1) 戸建分譲住宅部門(下記3区分)、(2) 中高層分譲住宅部門(下記4区分)、(3) 不動産関連事業部門、(4) 戸建注文住宅部門、(5) 企画・開発部門(優れた商品開発等で検査済証が交付されたものに係るもの及び検査済証が交付されたものに付随する文化・芸術、地域社会への貢献活動)、(6) リノベーション部門の6部門としました。 応募基準は、(1) プロジェクトの内容が関係法令等に適合したものであること、(2) 施工及び品質管理に係る体制、プロジェクトの実施後における維持管理及び保証に係る体制が適切なものであること、(3) 住宅性能及びデザインに優れ、街並みの景観、周辺環境との調和等良好な住環境を形成するための配慮が明確であること、(4) 係争中のもの又は係争に発展するおそれがあるものでないこと、といたしました。 今回は、会員各社から 26 プロジェクトの応募があり、その内訳を部門別にみると、戸建分譲住宅:6、中高層分譲住宅:11、不動産関連事業:2、企画・開発:5、リノベーション:2プロジェクトで、戸建注文住宅は応募がありませんでした。また、地域別にみると、東京都:10、兵庫県:4、神奈川県・福岡県:各3、広島県:2、宮城県・栃木県・埼玉県・大阪府:各1プロジェクトとなっております。 応募いただいた全てのプロジェクトについて、事業表彰審査会において書類選考及び現地調査を実施しました。総合審査に当たっては、「戸建分譲住宅、中高層分譲住宅」の2部門では、 ①事業コンセプト、②商品、③環境配慮、④事業成果、⑤その他、「不動産関連事業、企画・開発部門」の2部門では、①企画・開発コンセプト、②商品開発、③環境配慮、④企画・開発成果、⑤その他、「リノベーション部門」では、①事業コンセプト、②商品、③事業成果、 ④その他――のそれぞれの審査項目について、厳正かつ公正な審査を行い、15 プロジェクト(戸建分譲住宅:4、中高層分譲住宅:6、不動産関連事業:2、企画・開発:2、リノベーション:1)を優良事業賞に選考いたしました。そして、この選考結果どおり平成 29 年3月 24 日の理事会において優良事業賞が決定いたしました。
戸建分譲住宅部門 (大規模)
JR 堺市駅から徒歩8分という利便性の高い立地に計画された全 64 棟のプロジェクト。大阪府の PFI 事業に JV で参画した。 HEMS とダブル発電(エネファーム+太陽光発電)を全戸標準装備としたほか、分譲地中央には防災備蓄倉庫を設置するなど、環境に配慮し災害に強い街並みを実現した。相場より 1,000 万円以上高い販売価格にもかかわらず、1年9か月という短期間で完売したことも高く評価された。今後も増える PFI 事業への参画に大変参考となるプロジェクトである。
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戸建分譲住宅部門 (大規模)
JR 三ノ宮駅から車で 15 分、神戸市北区の高台にある大型分譲団地内の点在地を一般競争入札により取得。区画が点在している難しい条件であったが、1棟ごとに異なる個性的なデザインと間取りを採用、元の街区に違和感のない街並みを作り上げた。「ママが喜ぶ家づくり」をコンセプトに母親目線の要望・意見を取り込み、ママが駐車しやすいオープン外構などの商品企画に反映させたほか、ZEH・床下冷暖房システムの導入などで光熱費を抑え、環境面にも配慮した。
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戸建分譲住宅部門 (大規模)
「子どもの夢を育む街」をテーマにした東北芸術工科大学との産学連携による長期プロジェクト。親子のコミュニケーション、自由な創造力に着目し、遊びを誘発させるカースペース、自然と人が集まるウッドデッキ、子供と家族のつながりを創出する家具「ツクルカベ」を設置したほか、分譲地の一角に遊び場ともなる「はらっぱ」を設け、子供の創造力を育むきっかけを生み出している。横浜市特有の傾斜地を 40 戸の住宅団地に仕上げる構想力・事業推進力も高い評価につながった。
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戸建分譲住宅部門 (大規模)
街区内の道路をループ状の一方通行とし、その周りに住戸を配置、車両の交通を抑制することで居住者の安全を確保するとともに、道路を挟んで居住者がふれあいを生み出すランドスケープが素晴らしい。オープン外構を基本に、敷地境界に花崗岩を均等に並べ一体感を持たせている。外観は、建物デザインや色使いに変化を持たせ、上質な雰囲気を醸し出している。住戸内は対面キッチンとリビング内階段を標準とし、開放的なリビングを実現している。
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中高層分譲住宅部門 (大規模)
横浜市の市街地環境設計制度を活用した総合設計により、1階に店舗を設置し、公開空地を設けることで高さ制限を緩和、15 階建ての建築が可能となり事業を成功に導いた。住戸の大半をあえて北西向きに配棟したことで、目の前に広がる公園の緑と日産スタジアムを一望できることとなり、購入者から高い評価を得て発売後 10 か月で早期完売を果たした。生ごみの減量を目指したディスポーザーの標準採用、一括受電や電気の見える化など幅広く省エネにも貢献している。
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中高層分譲住宅部門 (中規模)
当初の計画から隣接地を追加買収したことにより、全住戸が南向きで低層住宅街に面した「目白×駅近×南向」の魅力溢れるプロジェクト。街並みに調和した外観デザイン、中庭に南国リゾートを感じさせる植栽を配し、うまくまとめている。断熱複層ガラスを全窓に採用し冷暖房効果を高め、共用部の全照明に LED を採用、環境にも配慮している。住戸内は、浴室に酸素美包湯を採用するなど、女性目線の暮らしやすさをカタチにした設備仕様も好評で発売から7か月で完売した。
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中高層分譲住宅部門 (中規模)
福岡市の中心に位置する立地特性を活かし、1LDK~4LDK の様々な間取りを用意した都市型分譲マンション。前面道路から玄関ホールまでの導線を屈曲させ、オブジェと銘板を設置、通りからの視線を遮断し、街の賑わいからプライベート空間へいざない、優雅な空間を演出している。外観ファサードやアプローチからエントランス、ラウンジに至るデザインには統一感がある。北向きのマンションであることが懸念されたものの、歩留まり 19%で完売したことも評価された。
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中高層分譲住宅部門 (小規模)
法令や条例、形状や規模等によって住宅事業用地として難がある土地を高密度に開発、新たな付加価値を創造しながら事業収益性を確保した重層長屋建ての集合邸宅。外観デザインは、コンクリート打放しを基調とし、小たたき仕上げや杉板型枠仕上げなどソリッドで重厚感あるファサードなど独特の存在感を醸し出している。最大公約数的な消費者ニーズを狙わず、ターゲット趣向を限定して徹底的に作り込みを行い、購入者の満足度は極めて高い。
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中高層分譲住宅部門 (ワンルーム事業)
5階部分までを1フロア3戸、6階以上は4戸という斬新な発想で日影規制をクリアし、専有面積を約 140㎡増床(一般的な企画より 11.2%増)させたことが事業を成功に導いている。これにより新設杭を6本減少させ、工事費の圧縮につながるとともに、周辺マンションと一線を画す個性的なデザインとなっている。また、エントランスには透明感のあるガラスモザイクを採用、外部の緑をイメージした間接照明を計画し、明るく清潔感のある空間を生み出している。
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中高層分譲住宅部門 (ワンルーム事業)
JR 川崎駅から徒歩9分という立地特性を活かし総戸数 273 戸のワンルームマンションをわずか5か月で完売した。外観はリズミカルな白黒グレーのモノトーン調、エントランスアプローチはブルーパールの石貼を基調とし、エントランスホールは和紙を合わせガラスで挟んだ光壁と御影石で構成、変化を付けた間接照明を配置し高級感と安らぎを演出している。また、住戸内の Wi-Fi 接続環境や1階共用部でのフロントサービスなど居住者への上質なホスピタリティと手厚いサービスを提供している。
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不動産関連事業部門
住居地域での商業ビルという難しい条件にもかかわらず、既存の街並みに合わせたボリューム構成、シンプルな佇まい、視覚的・物理的に建物を外に開きつなげることを設計思想とし、見事に実現している。大胆な事業用地取得、優れたテナント誘致、売却先の選定など幾重にもある高いハードルを克服し高利益を確保することに成功している。屋上と壁面の緑化、外観のライトアップにLED を採用するなど環境面への配慮も評価できる。
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不動産関連事業部門
アクティブシニアをターゲットとし、天然温泉大浴場やレストラン、娯楽室などの共用施設が充実した所有権型の分譲マンション。高さ制限と容積率上限が厳しい中、敷地高低差を利用し共用部を地階に配置し、容積率緩和の規定を活用したほか、1階まで吹き抜け空間の解放感と採光を取り入れる工夫がある。高級住宅街ではあるがバス便という立地で、周辺相場より高い販売価格設定にもかかわらず、建物完成までに半数以上が成約となり、その後も順調に契約を重ねている。
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企画・開発部門
売却先である海外投資家の意向を最大限に反映しながら設計を進めていく注文建築型投資用マンション。建物妻側の外壁には四丁掛けのレンガ調タイルを採用することで高級感を演出し、外構は花壇壁面にコブ石調御影石を貼り外壁と一体感を演出するとともに重厚感をより強調した。エントランス・住戸内ともに賃貸マンションとは思えないクオリティの高さを実現したほか、1階にコンビニエンスストアを誘致し収益性を高めることにも成功している。
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企画・開発部門
東日本大震災による多大な被害を受けた石巻市における復興と中心市街地の活性化を目的とした「市街地再開発第1号」プロジェクト。万が一の津波に備えた計画とし、地上 6m の位置に人工地盤を設け、上層に住戸エリア、下層に店舗と駐車場を配置した。外観もガラスとコンクリートでリズム感を出しシンプルな中にも洗練さを感じる仕上げとなっている。中心市街地に賑わいを取り戻す一歩として地元の期待は大きく、このプロジェクトの果たした社会的意義も高く評価された。
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リノベーション部門
総戸数 10 戸の大手ゼネコンの社宅を見事に再生したプロジェクト。限られた予算内でエントランス等を最新設備に更新、外観や植栽にもこだわり中古特有の「古さ」を払拭した。住戸内も設備をエコキュート、IH クッキングヒーターへ取替えオール電化とし、毎月の光熱費試算表や電気プランも提案。環境面だけでなく購入者の経済面にも配慮している。購入者の予算や使い勝手に合わせた住設機器の選択、防音、断熱対策にもきめ細かく対応していることも高い評価につながった。
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