全住協は、平成 29 年 11 月、第8回優良事業表彰の募集を行いました。 この表彰制度の目的は、「優良なプロジェクト(事業及び企画・開発)を実施した会員を表彰することにより、良質な住宅供給及び住環境の整備を促進し、もって住宅・不動産業の健全な発展と会員の資質向上に寄与すること」にあります。 表彰部門は、(1)戸建分譲住宅部門(下記3区分)、(2)中高層分譲住宅部門(下記 4区分)、(3)不動産関連事業部門、(4)戸建注文住宅部門、(5)企画・開発部門(優れた商品開発等で建築基準法に基づく検査済証が交付されたものに係るもの及び建築基準法に基づく検査済証が交付されたものに付随する文化・芸術、地域社会への貢献活動)、(6)リノベーション部門のほか、今回から(7)宅地開発部門を新設し、7部門としました。応募基準は、(1)プロジェクトの内容が関係法令等に適合したものであること、(2)施工及び品質管理に係る体制、プロジェクトの実施後における維持管理及び保証に係る体制が適切なものであること、(3)住宅性能及びデザインに優れ、街並みの景観、周辺環境との調和等良好な住環境を形成するための配慮が明確であること、(4)係争中のもの又は係争に発展するおそれがあるものでないこと等、といたしました。 今回は、会員各社から 20 プロジェクトの応募があり、その内訳を部門別にみると、戸建分譲住宅:4、中高層分譲住宅:11、不動産関連事業:2、企画・開発:2、リノベーション:1プロジェクトで、戸建注文住宅と宅地開発部門は応募がありませんでした。また、地域別にみると、東京都:8、神奈川県:4、愛知県・沖縄県:各2、北海道・京都府・大阪府・福岡県:各1プロジェクトとなっております。 応募いただいた全てのプロジェクトについて、事業表彰審査会において書類選考及び現地調査を実施しました。総合審査に当たっては、「戸建分譲住宅、中高層分譲住宅」の2部門では、 ①事業コンセプト、②商品、③環境配慮、④事業成果、⑤その他、「不動産関連事業、企画・開発部門」の2部門では、①企画・開発コンセプト、②商品開発、③環境配慮、④企画・開発成果、⑤その他、「リノベーション部門」では、①事業コンセプト、②商品、③事業成果、 ④その他――のそれぞれの審査項目について、厳正かつ公正な審査を行い、12 プロジェクト(戸建分譲住宅:1、中高層分譲住宅:7、不動産関連事業:1、企画・開発:2、リノベーション:1)を優良事業賞に選考いたしました。そして、この選考結果どおり平成 30 年3月 23 日の理事会において優良事業賞が決定いたしました。
戸建分譲住宅部門 (中規模)
福岡市のベッドタウンにおけるプロジェクト。元々あった茶室をリノベーションし風情ある平屋住宅として残すとともに、新たに建設した7戸の住戸は、日本家屋の美しい屋根、中庭、縁側、格子などを配し、古民家が多く残る歴史的な街並みと見事に調和している。敷地延長のアプローチが長い土地に、駐車スペースと歩行者用通路をうまく配置し、デザイン性も優れている。古い建物を残し、時間と労力をかけて古民家の再生に取り組んだ姿勢が高く評価された。
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中高層分譲住宅部門 (大規模)
権利調整に3年を要するなど、事業化するまでに大変な困難を克服したプロジェクト。外観は、白いキャンティスラブを何枚も張り出すことでリズム感のあるデザインを採用、アプローチに光の列柱を演出し、黒を基調とした風除室から白を基調としたエントランスへと入居者に驚きと感動を与えるように工夫されている。実需用のファミリーと投資用のワンルームの混在物件ではあるが、フロア毎に設けられたセキュリティなど細かい配慮がなされている。
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中高層分譲住宅部門 (大規模)
最寄駅から約 15m の高低差がある敷地であるが、隣地を買収し居住者専用のエレベーターを設置することにより「駅までフラットアプローチ8分」をうたい文句とした総戸数 240 戸の大規模プロジェクト。4街区全体をパリ・モンマルトルに建ち並ぶ貴族のアパートメントと現代のモダン建築との融合をコンセプトとしてお洒落な街並みを演出している。オープンエアリビングバルコニーや 3m バルコニーなど開放感ある住戸を 112 プラン用意し、順調に完売した。
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中高層分譲住宅部門 (中規模)
「北中城村アワセ土地区画整理事業」内に位置する、土地区画整理組合が主催する公募で取得した保留地と仮換地を事業化したプロジェクト。エントランスに琉球瓦を採用し、沖縄らしい植栽とシーサーを設置するなど環境との調和を重視した設計となっている。角住戸率が高く、多くの部屋から太平洋と東シナ海が望める抜群のロケーションで、沖縄県内初となる非常用ガス発電機を導入するなど、非常時の生活にも配慮がみられ、販売開始から6か月で完売した。
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中高層分譲住宅部門 (中規模)
沖縄県那覇市の航空自衛隊レーダー基地の跡地を利用した全 78 戸のプロジェクト。東南向きの配置を活かし全戸約8m のワイドスパンで採光に優れた快適な住まいを演出している。シアタールームや多目的ルーム、スタディルーム等の共用スペースも充実している。隣地にショッピングストアや医療モール等の複合施設の誘致に成功した結果、販売期間7か月、29.8%という驚異的な歩留まり率で早期に完売したことが高い評価につながった。
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中高層分譲住宅部門 (小規模)
都営大江戸線・新宿線「森下」駅徒歩3分、下町でありながら利便性が高く都心にも近い総戸数 31 戸の分譲マンション。徒歩圏内に6つの公園がある周辺環境を考慮し、コンセプトをニューヨーク発祥の「アスレジャー」に設定、ストレッチコーナーやスポーツクローゼット・スポーツサイクルポーチなど健康志向の強いターゲットへ訴求を図ったほか、競技場のトラックをモチーフとした独創的なデザインのエントランスを設けている。
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容積消化が難しい旗竿地で出部屋構造の部屋を多く造ることにより、当初プランよりも 250㎡以上の容積消化を可能とし、4割以上の住戸が 75㎡超となった総戸数 33 戸のプロジェクト。出部屋構造のネックとなる目立つ大梁をボイドスラブの採用により下がり天井を大幅に削減し、ハイサッシの明るい部屋を実現した。アプローチは金沢の武家屋敷の小路をヒントに両サイドを RC の塗り壁にし、エントランス内部は加賀友禅と京唐紙を採用し、華やかな和のテイストを表現している。
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中高層分譲住宅部門 (小規模)
東京駅や銀座まで 1km 圏内と利便性の高い立地に、全戸1LDK、角住戸、内廊下設計という希少性の高い総戸数22 戸の都市型コンパクトマンション。外観は、縦と横のラインを強調したモダンな造形美とし、ブルックリンスタイルを基調に仕上げ、エントランスホールは欧米の邸宅を思わせるシックなアースカラーをベースに折り上げ天井等で高級感を演出している。単身者を意識したホームクリーニング機「LG スタイラー」を全戸に標準装備している。
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不動産関連事業部門
都営三田線西台駅徒歩2分にある築 18 年のオフィスビルを1棟購入した不動産流動化事業。都心からやや離れた立地でテナントを見つけるのが難しいエリアにもかかわらず、グレードの高い大臣認定建築物であった大規模の建物を仕入れた勇気にまず感銘を受ける。安易にスクラップアンドビルドを行うことなく、既存建物を活かしながらマーケットニーズに合致した最適なバリューアップを施し、一括テナントの誘致と売却先を同時に見つけた事業スキームは高く評価される。
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企画・開発部門
函館駅前若松地区第1種市街地再開発事業として、「交流都市函館の玄関口にふさわしい、にぎわい空間と景観の創出」をコンセプトに、定住人口の確保を目的として住宅保留床を取得して分譲した再開発事業。函館駅前のランドマークとして落ち着いた外観デザインを採用、函館市街を一望できる眺望も素晴らしい。行政や地元青年会議所の協力を得て、企画・販売を行った総合企画力、函館駅前の賑わいを取り戻し、地域の活性化に貢献したことが高評価につながった。
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企画・開発部門
投資家への「一棟売り賃貸住宅」のツボを押さえたプロジェクト。全体デザインは地中海のリゾート地「ミハス」の連棟式街並みをモチーフにまとめ、1階を 1K、2~3階にメゾネットのファミリータイプを混在させることにより、賃貸市場における差別化を図り、投資リスクを軽減している。駅からのアクセス及び住環境に優れるが、従来活用が難しかった旗竿地に、鉄骨造の3階建ての長屋を企画・建設することにより、これまで活かせなかった土地の価値を引き上げうまく有効活用している。
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リノベーション部門
京阪本線三条駅から徒歩4分、築 28 年のオフィスビルを中長期滞在の海外客をメインターゲットにしたホテルにリノベーションした案件である。解体範囲を制限して改修工事を行い、新築工事と比較して工期を大幅に短縮している。日本の文化を感じてもらうため、和紙、竹、唐紙など和の内装や職人技など京町家の要素を取り入れ、全 21 室を独自のロゴで表現し、各部屋のイメージも全て異なるなど独自性や創造性が感じられる。
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