モダ・ビエント杉並柿ノ木
(株)フィンチ
中高層分譲住宅部門
敷地内に多くの樹木を残し周辺の豊かな自然環境とのつながりを継承している。外観・内部空間共にデザイン性に優れ、メゾネットやロフト・スキップフロアなど各住戸に幅を持たせ、どの窓からでも緑が見えるように工夫されている。
画像ギャラリー
事業コンセプト
コンセプトは「杉並の緑豊かな環境の共有と継承」。高い緑被率の杉並区は、多くの公園のほか生産緑地等、自然の潤いに包まれた住環境を形成している。当物件の敷地の周辺にも、豊かな自然が数多く残され、敷地は脈々と継承されてきた樹林地であった。敷地内にあった樹齢百数十年という欅をはじめ、敷地内の多くの樹木を残し周辺の環境とのつながりを継承していくという想いから、従来の周辺環境を切り離した閉鎖的な集合住宅ではなく、自然を共有・共存する生活、緑を通したコミュニティ造り、杉並の風景の形成に挑戦した。既存樹木をできる限り残すため、移植を繰り返しながら工事を進めた。敷地内には四季の移ろいを伝えてくれる植栽計画を施し、緑の残る周辺環境と風景がつながるような敷地計画・外観フォルムを計画し、豊かな自然の残る外部環境を室内環境にも繋げ、コミュニティ形成を意識する配棟にすることとした。また、外部と内部を繋ぐ中間的な役割を果たすポーチやテラスを、中庭を囲む外部通路に面して設け、住戸を開放することで住人同士のコミュニティの形成を促す。室内プランについては画一的なものではなく、戸建て住宅で得られる自由度を持ち合わせ、また、外部環境を十分に感じ、外部環境をも住戸内の一部として生活することができるようなプランニングとすることにした。
商品企画
配棟は、緑化された屋上庭園が近隣の緑につながるよう、ひな壇型のフォルムとし、敷地内外の樹木の配置と建物の造形が杉並の風景を造り出している。エントランスを入ると四季を感じさせる植栽や開放感のある中庭を設け、その中庭を囲む空中回廊を通り、住戸へと繋がっていく。建物周辺の環境を建物内部に取り込むことができるように、メゾネットやロフト・スキップフロアといった多彩な空間構成を計画し、住戸内部で目線の高さが変化する。それによって、住まい手自身が能動的に外部環境を多様な目線で取り入れ、住まいを楽しむことができる。外の景色を絵画のように切りとる大きな窓を採用したことで、それはより効果的に自然を借景とし、外部環境をも住戸内の一部としてデザインをすることができた。立体的な空間構成による「環境を楽しむ」新しいライフスタイルの提案ができたのではないかと思う。
事業成果
当物件の最寄駅である西武新宿線井荻駅は戸建てを中心とした住宅街エリアのため、弊社としては「環境共生」というコンセプトを守りながら、価格帯を4000万円台~5000万円に設定し、エリアの購入体力とマッチさせた。住戸プランに様々なバリエーションをもたせ、多くの住戸にルーフガーデンや専用庭を設け、戸建て感覚を持てるプランニングとした結果、顧客層の幅を拡げることができた。また、延床面積に算入されていないロフトや床下収納空間などの立体的な空間構成を用いることで、従来の間取りよりも1部屋多く居室を感じることができるようにした。販売は好調で、「エコロジー=環境共生住宅」というテーマは、購入に至るまでの決定打にはなってはいないが、それを「四季を感じ、自然とつながる」というテーマに置き換え、敷地計画や住戸のプランニングに反映させることで環境を身近に取り入れることができ、コストと商品の質の一 体がユーザーに受け入れられたと思う。
物件概要
事業主名 | 株式会社フィンチ |
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現場住所 | 東京都杉並区上井草1-4-1 |
企画設計 | 有限会社谷内田章夫ワークショップ |
施工者名 | 多田建設株式会社 |
工事竣工 | 平成20年3月28日 |
規模概要
敷地面積 | 52.78 ~ 110.99m²(平均 67.93m²) |
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延床面積 | 3,860.38m² |
構造規模 | RC造地下1階地上 6 階 |
住戸総数 | 43 戸 |