全住協は、令和元年11月、第10回優良事業表彰の募集を行いました。 この表彰制度の目的は、「優良なプロジェクト(事業及び企画・開発)を実施した会員を表彰することにより、良質な住宅供給及び住環境の整備を促進し、もって住宅・不動産業の健全な発展と会員の資質向上に寄与すること」にあります。 表彰部門は、(1)戸建分譲住宅部門(下記3区分)、(2)中高層分譲住宅部門(下記4区分)、(3)不動産関連事業部門、(4)戸建注文住宅部門、(5)企画・開発部門(優れた商品開発等で検査済証が交付されたものに係るもの及び検査済証が交付されたものに付随する文化・芸術、地域社会への貢献活動)、(6)リノベーション部門、(7)宅地開発部門の7部門としました。 応募基準は、(1)プロジェクトの内容が関係法令等に適合したものであること、(2)施工及び品質管理に係る体制、プロジェクトの実施後における維持管理及び保証に係る体制が適切なものであること、(3)住宅性能及びデザインに優れ、街並みの景観、周辺環境との調和等良好な住環境を形成するための配慮が明確であること、(4)係争中のもの又は係争に発展するおそれがあるものでないこと、といたしました。 今回は、会員各社から25プロジェクトの応募があり、その内訳を部門別にみると、戸建分譲住宅:6、中高層分譲住宅:14、不動産関連事業:1、企画・開発:3、リノベーション:1プロジェクトで、戸建注文住宅、宅地開発部門は応募がありませんでした。 また、地域別にみると、東京都:13、神奈川県:4、兵庫県・福岡県・沖縄県:各2、茨城県・埼玉県:各1プロジェクトとなっております。 応募いただいた全てのプロジェクトについて、事業表彰審査会において書類選考、現地調査又はプレゼンテーションによる審査を実施しました。総合審査に当たっては、「戸建分譲住宅、中高層分譲住宅」の2部門では、①事業コンセプト、②商品、③環境配慮、④事業成果、⑤その他、「不動産関連事業、企画・開発」の2部門では、①企画・開発コンセプト、②商品開発、③環境配慮、④企画・開発成果、⑤その他――「リノベーション部門」では、①事業コンセプト、②商品、③事業成果、④その他――のそれぞれの審査項目について、厳正かつ公正な審査を行い、16プロジェクト(戸建分譲住宅:5、中高層分譲住宅:7、不動産関連:1、企画・開発:2、リノベーション:1)を優良事業賞に選考いたしました。 そして、この選考結果どおり令和2年11月20日の理事会において優良事業賞が決定いたしました。
戸建分譲住宅部門 (小規模)
通勤・通学に便利で、かつ都市部と比較して自然豊かな環境に位置する郊外型住宅。全邸採用の「ガーデンリビング」をつくり、隣地境界まで壁を最大限張り出すことにより、建物全体が大きく見え、重厚感を感じさせる一方で、バーベキューなどのアウトドアライフを敷地内に取り入れている。また、工事費を抑えて高気密・高断熱の高性能住宅を供給するとともに、事業エリア内に病院を誘致したことも高く評価された。
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戸建分譲住宅部門 (中規模)
ランドスケープ(区割)が1番のポイントで、前面道路に面した2区画を注文住宅、奥4区画の建売住宅を比較的狭小ロットで企画した事業である。高低差がある難しい土地で、駐車場を全て道路側へ集約するとともに、各棟から土地を持ち出し、中央に新しい半共有化の空間を配置した「風景を共有化する」という発想は、風景、遊び場、日照、通風を確保し、一つの街並みをつくり上げたことが高く評価された。
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戸建分譲住宅部門 (中規模)
JR高崎線「深谷」駅徒歩3分と駅近物件ながら、北傾斜のひな壇形状の土地、道路付け4m弱、隣接地に3階建てのマンションがありプライバシーが気になる等、難しい条件の土地を事業化したプロジェクト。ひな壇の形状を活かし、高低差のある敷地に光源の異なる明かりを散りばめた街づくりをしており、現地以外での説明会を開くなど販売方法にも工夫を凝らしていることや近隣交渉の結果、道路の一部を譲り受け、開発許可を取得した企画力が高い評価を受けた。
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戸建分譲住宅部門 (中規模)
建築制限(まちなみ維持組合)を設け、建売住宅10棟と注文住宅1棟で統一感のある美しい街並みを構成した事業。建築可能ラインを設けたことによる豊かなフロント空間、アプローチの外構、植栽をルール化することで、ゆったりとした、緑を感じる街並みを実現した。窓の配置をずらすことにより、生活視線が合わない工夫がされている。外部パートナーとコラボレートし、エンドユーザーに支持され る街づくりが次の事業につなげられたことも評価を受けた。
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戸建分譲住宅部門 (小規模)
東京メトロ有楽町線「平和台」駅徒歩5分の閑静な住宅地での4棟の戸建分譲事業。「此処にしかない。オンリーワンの住まいを。」をコンセプトに、洗練された造形美、機能的で安らぎのある空間を実現し、高品質にこだわった住まいとして、光、風、緑を都心で感じられる落ち着きのある端正な住まいとなっている。今後の社内ベンチマークとなる事業であり、意欲的な商品づくりと担当者の情熱を感じさ せる物件である。
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中高層分譲住宅部門 (大規模)
異国情緒あふれる街並みが残る横浜・山手町に隣接する立地の魅力を活かした大規模マンションプロジェクト。高低差10mという難しい敷地形状だったが、棟構成や動線、外構等を計画配置し魅力的な価値ある物件に仕上げている。2棟構成のバランスや外観ファサード、傾斜地を活用した地下駐車場の設置や屋上緑化したルーフバルコニー、充実した共用施設など完成度が高い事業である。周辺相場よりも高い価格で全116戸を9か月で完売した事業成果も高評価となった。
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中高層分譲住宅部門 (大規模)
ここ数年、一段と人気が高まる目黒駅周辺の高台斜面地に建設された高級レジデンス。敷地内には、2,000本を超える植栽を施し、隣接するホテルの池や庭を借景として取り込み周囲の緑とも一体となり、独創性ある存在感を創出している。住戸プランは30㎡台から100㎡超まで多彩なバリエーションを配し、単身者、DINKS、プレミアムファミリーと幅広いニーズに対応している。商品企画、顧客満足度、 環境融和、事業収益、事業期間などを総合し、高く評価された。
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中高層分譲住宅部門 (中規模)
田園都市線「用賀」駅から1分という立地であるが、大通りから一本入っているため駅前でも静かな住宅地でのマンション事業。外観デザインは「織部製陶のタイル」を前面に貼り高級感を演出し、エントランスロビーは大きな空間を確保し高額マンションとしての豪華さと落ち着きを醸し出している。販売価格は、周辺相場から大きく上げて設定したが、物件のグレードの高さ、立地の優位性、住環境が整っ た希少性などから販売開始から7か月で完売し、「高額チャレンジ」に成功したことも評価の対象となった。
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中高層分譲住宅部門 (小規模)
沖縄西海岸エリアのリゾートタウン北谷町でアラハビーチまで徒歩3分という立地の敷地100坪、11戸のマンション事業。外壁はホワイトをベースとし、沖縄特有の花ブロックでナチュラルにデザインし、1階の階高を4.9mとし中間階でも海への眺望を確保するなどリゾートライフを楽しめるよう配慮されている。実需、セカンドハウス、投資用と様々なニーズに応える結果となり、モデルルームや広告費もほとんど使うことなく歩留まり34.3%で短期間に完売しており高く評価できる。
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中高層分譲住宅部門 (小規模)
JR中央線「西荻窪」駅から徒歩2分のマンションプロジェクト。外観は、打放しコンクリートの壁面、水平ラインを整えたフラットスラブが綺麗にデザインされている。当初は14戸のファミリーマンションの企画であったが、市場調査の結果を踏まえ、DINKS・単身者にターゲットを絞り、総戸数19戸のコンパクトマンションに計画を変更した。西荻窪エリアはここ数年新築マンションの供給がなかったこともあり、坪単価410万円の高価格帯にチャレンジし、広告費を抑えたにもかかわらず8か月で完売した。
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中高層分譲住宅部門 (ワンルーム事業)
東京メトロ日比谷線「入谷駅」徒歩6分、総戸数90戸のプロジェクト。当初2筆の事業用地取得後に、隣地を追加買収し合計7筆で事業化。事業規模を大きくすることで、ワンルーム販売会社への1棟卸しからファンドへの1棟売却に出口戦略を変更し、収益が大幅に改善した。台東区根岸という土地柄から「トラディショナルモダン」をコンセプトに掲げ、外観に矢鱈縞や矢鱈格子を外壁タイルで演出、色彩計画や風除室、エントランスホールに至るまで「和」を感じさせる仕上がりとなっている。
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中高層分譲住宅部門 (ワンルーム事業)
都営大江戸線「東新宿駅」徒歩3分の総戸数47戸のワンルームマンション。接道は2.7mの私道による旗竿地で工事に支障があったため、隣地所有者と交渉の上、一部敷地を借り、工事用道路として拡張整備することで大型車両の通行を可能とした。外観は風合いのあるタイルを基調とし重厚感のあるモダンで落ち着いたデザインを採用。懸案であった細い私道を趣のある路地に見立て、繁華街からゆったりと邸宅に導くようデザインしている。周辺相場より高い価格設定にもかかわらず、1か月で完売したことも高く評価された。
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不動産関連事業部門
「渋谷」駅から徒歩12分、都内屈指の高級住宅街である松濤エリアにおける富裕層向けの有料老人ホーム事業。地下の容積率緩和を効果的に活用し、地下と1階の一部に食堂を始めとする共用部を集約、2~3階に居室を配置している。居室は20.4㎡と広くはないが、入口に「個」を象徴する構えを設け、「施設」ではなく「家」らしさを表現し、高齢者が活き活きと過ごせる工夫が随所にみられる。外観は 重厚なアクセントウォールと線の細いマリオンを組み合わせ、松濤の高級感と渋谷の先進性を表現している。
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企画・開発部門
温かい印象のレッドシダーの木目とカーテンウォールを融合、三角形や多角形を組み合わせ、外観からは木造と想像できない存在感、意匠性とも素晴らしいショールームで、地域のランドマーク的な建物になっている。VR、IoT、構造、照明を始め各種の体感ルームが設けられ、後悔しない住まいづくりを楽しんでもらえる空間となっている。木造住宅に特化している会社というこだわり、木造建築の可能性を 感じさせられたことが高評価につながった。
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企画・開発部門
当初の計画では、全17区画の分譲住宅で敷地延長の区画が6割以上を占めていたが、賃貸アパート1棟+分譲住宅15棟の計画へ変更したことにより敷地延長の区画が減り、収益性が向上した。高耐震構造に制振性能を融合した「ハイブリッドキューブ工法」を採用、断熱性能は設計性能評価で最高等級4、認定低炭素住宅とすることで、地球と家計にやさしい住宅を提供したほか、敷地延長の区画を地形 よりも利回りが優先される賃貸アパートの企画に変更した発想の転換が高評価となった。
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リノベーション部門
築29年の社宅をフルスケルトンで改修した総戸数51戸のリノベーションマンション。給排水管を更新し、遮音性や省エネルギー性を高め、住宅金融支援機構の「【フラット35】リノベ」に適合するようバリューアップを施し、専有部は個性の異なる3社に発注し、お客様の多様なニーズに応えている。販売価格は、周辺の新築と中古の中間に設定、JR南武線「矢向」駅徒歩19分と難しい立地であったが、歩留まり28%、販売期間10か月で完売した。
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