第6回優良事業表彰受賞プロジェクトを決定
全住協は、3月18日に開催した理事会において優良事業表彰「優良事業賞」を決定した。この優良事業表彰は、優良なプロジェクト(事業及び企画・開発)を実施した会員を表彰することにより、良質な住宅供給及び住環境の整備を促進し、もって住宅・不動産業の健全な発展と会員の資質向上に寄与することを目的として実施している。
会員各社より20プロジェクトの応募があり、現地調査を含め厳正な審査を行い、優良事業賞として以下の9プロジェクトを決定した。表彰は、6月7日に開催する定時総会で行う。なお、受賞プロジェクトの詳細については順次当誌で紹介する予定である。
優良事業賞
[戸建分譲住宅部門(中規模)]
「ヘリオスタウン柏・大津ヶ丘」 広島建設(株)
選評:JR柏駅からバス便と利便性が高いとはいえない立地であるが、住宅地でありながら近隣商業地域で北側斜線のない立地特性を活かし、南向きの片流れ屋根に10kw以上の大容量太陽光発電システムを標準搭載。販売価格は周辺相場より350~870万円割高であるが、20年間の売電収入が800~1,000万円得られるため、実質的なローン負担を大幅に軽減できる企画力が高く評価された。分譲地内の6Mの開発道路も開放感があり、周辺住宅地との差別化を図ることに成功し、順調に契約を重ねている。
[戸建分譲住宅部門(小規模)]
「リストガーデン オーレリアン深沢」 リスト(株)
選評:東急田園都市線 桜新町駅から徒歩20分、全5棟のプロジェクト。2020年には全ての住宅に省エネ基準義務化が予定されているが、それよりもさらに厳しい基準であるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を建売住宅で実現させた意欲的なプロジェクト。基本的な省エネ性能向上と建売住宅仕様のバランスに配慮するなど、ZEHを実現するための様々な制約にチャレンジした苦労の跡がうかがえる。国の省エネ施策を大きく先取りする形で事業化した素晴らしいプロジェクトである。
[中高層分譲住宅部門(中規模)]
「ウィルローズ日本橋蛎殻町」 (株)グローバル・エルシード
選評:事業用地の取得が困難となる中、1区画の買収から11組25人の地権者を取りまとめて事業化した、日本橋という立地に相応しい高級感漂う分譲マンション。エントランス壁面には「組子格子」を、エレベーターホールの折上げ部には「網代天井」を配し、オリジナルの「江戸切子」のブランケット照明を壁面に設置するなど伝統工芸を現代的にアレンジしている。多面採光、アウトフレームの柱、梁、内廊下、ブロックごとにエレベーターを設けるなど、高額物件ならではの商品企画が高い評価を受けた。
[中高層分譲住宅部門(中規模)]
「デュオヒルズ草加神明」 (株)フージャースコーポレーション
選評:漆喰の「白」、瓦の「黒」を用いて日本家屋のわびさびを表現した外観や瓦調タイル、校倉調タイルを使用したアプローチ空間、また、「ぼんぼり」をイメージした庇の間接照明など、趣ある宿場町らしい街並みを建物デザインに取り込み、見事にまとめ上げている。エントランス計画にはガラスを多用し、内部にいながら外の日本庭園のような緑やしだれ桜の坪庭を一望できる。専有部は女性目線で商品企画され、充実した収納スペースが目を引くとともに、エコジョーズ、複層ガラスなど環境への配慮も行き届いている。
[中高層分譲住宅部門(小規模)]
「アジールコフレ新中野」 (株)アーバネットコーポレーション
選評:アートギャラリーのように緻密に計画され、アプローチ・風除室は重厚感のある黒、エントランスは水晶石等による美しい白、内廊下は再度の黒と、入居者に驚きと感動を与える特筆すべき見事な演出。花粉エアシャワー、デザインされたゴミ置き場のほか、住宅内部もアッパーキャビネット等徹底して収納を確保、「細やかなこだわり」が数多く見てとれる。周辺相場と比較して最高値の坪単価にもかかわらず、歩留まり14.5%で販売から6か月で完売。マンション分譲事業のお手本とすべき珠玉のプロジェクトである。
[中高層分譲住宅部門(小規模)]
「グラディス東京イースト」 (株)マリモ・(株)アスコット
選評:物件のコンセプトである「美の離宮」を具現化する高級感あふれるデザインに包まれている。外観正面は、同色のタイルを縦横交互に貼り、日本の伝統模様「市松」を浮かび上がらせている。塗り壁の上に本物の金箔を藤の花のようにグラデーション状に施したエントランスは豪華絢爛。さらに離宮の空間構成である「一の間、二の間、三の間」と続くスペースが「美術館」を思わせる。フラットバルコニー、「低炭素建築物認定」取得や全戸に防災倉庫を設置するなど基本性能も高レベルである。
[戸建注文住宅部門]
「KEIAIカーザ O様邸」 ケイアイスター不動産(株)
選評:横浜市都筑区の高台に位置し、外観はモルタルのコテ塗りを採用、大きなアイアン門扉を設けた白亜の邸宅。中庭に全ての居室の窓が面する配置で、ガレージも中庭に面し、リビングからも車を眺められるプランとなっている。広告戦略としては、住宅雑誌ではなくファッション誌に広告を掲載、WEB、Facebook等でブランディングや暮らし方を提案したほか、イタリアの名門アルファロメオと提携するなど従来とは異なるブランド戦略も奏功し、施主の満足度も非常に高い。
[企画・開発部門]
「AXAS 大森西 ASYLCOURT」 (株)アーバネットコーポレーション
選評:本敷地と都市計画道路間の都有地について、関係機関と度重なる交渉を行い、道路の一部として認定を受け容積率UPに成功した。外観デザインはモノトーンでシックにまとめ、エントランスには周回して鑑賞できる幻想的なガラスのモニュメントを設置。足の伸ばせる自社開発浴槽、徹底した収納確保、キッチンシンク廃材による調理スペース確保等、ワンルームの限られたスペースの中、居住者の生活に最大限に配慮した作り込みは賞賛に値する。4か月で完売となり、事業的にも大成功といえるプロジェクトである。
[企画・開発部門]
「モダ・ビエント中板橋プラシア」 (株)フィンチ
選評:中板橋駅徒歩1分の木造密集地再開発事業。廃道を伴う開発行為でありながら、24時間利用できる貫通通路を中央部に設置するなど、地域住民へ十分な配慮がなされている。店舗部分と住宅分譲部分の出入口を完全に分離させ、分譲マンション購入者への住環境確保に配慮した計画となっている。第1期と合わせて約10年という歳月をかけ、多数の権利者をまとめ上げ、事業を成し遂げたことは賞賛に値する。地元街づくりと駅前イメージ向上にも大きく寄与した、社会的意義の高い事業である。