平成26年の低層住宅労災件数は前年上回る522件
~住団連、低層住宅の労働災害発生状況調査
(一社)住宅生産団体連合会は、「平成26年低層住宅の労働災害発生状況報告書」をまとめた。調査対象は同連合会構成団体のうち6団体の会員企業。低層住宅建築工事において現場災害の発生状況を調査し、544社が回答した。この544社の年間完工棟数は、新築が16万6807棟、増改築・リフォームが37万5027棟。同報告書は、平成5年から低層住宅建築工事による労働災害発生状況を集計分析している。
同調査の概要をみると、[労働災害件数(休業4日以上の災害で、一人親方や事業主災害等を含む)]522件で前年(492件)に比べて30件増加している。工事1000棟当たりの労働災害発生率は0.94件で前年(0.87件)と比べ0.07件増加。労働災害発生状況では[作業分類別]発生率の高い「建方工事」が平成24年の31.8%から25年は28.7%へ、26年は23.2%へと減少傾向となったが、「内部造作工事」が前年の16.7%から20.8%へ増加した。両作業での合計44.0%は、前年比1.4%と若干減少した。「内装工事」は平成24年の3.1%から25年には8.1%へと大幅に増加したが、26年は5.4%減の2.7%へ減少した。
[職種分類別]では、「大工職」の労働災害発生比率は41.6%で前年の52.8%から減少したが「その他」が前年の25.2%から32.0%へ増加した。「その他」の職種の大半は一現場で継続しての作業ではなく、各現場を巡回する職種のため、その現場の作業環境に不慣れなことによる労働災害が発生しやすくなる。初めての現場に入るときは、足場掛状況、現場の整理整頓状況、資材搬入のための通路状況等の把握を行うことの普及啓発が必要である。
労働災害発生状況では、
[原因・型別]墜転落災害が48.7%と約半数を占め、そのうち「足場」「脚立」からの転落が46.0%となっている。工具での切れやこすれは、「丸鋸」は26.9%(前年比4.2%減)、「釘打ち機」は23.1%(同11.3%減)と減少したが、「その他」が前年比7.2%増加し25.0%となった。
[休業日数別]
全年比で休業日数が「31~90日」は32.2%(前年比6.6%減)と減少したが、「91日以上」15.1%(同3.7%増)と「死亡災害」2.3%(同1.1%増)が増加した。死亡災害や重症災害になる割合が高い『墜転落災害』『電動工具災害』『車両系建設機械災害』については予防対策を強化し、元請業者・事業主が協力して労働者に災害防止の重要性について常に自覚を持つように、安全衛生教育の一層の推進を行わねばならない。
[雇用形態別]
「労働者」が59.4%(前年比6.1%増)、「事業主」が5.0%(同0.3%減)、「一人親方」が35.1%(同6.4%減)と、「労働者」が平成24年の56.5%から25年は53.3%へ減少していたが、26年は再び増加に転じた。「一人親方」の割合は3年ぶりに減少した。
[年齢別]
50歳代が14.8%(前年比同5.7%減)、60歳代が19.3%(同2.9%減)といずれも減少したが、20歳代が16.1%(同2.5%増)、30歳代が22.0%(同3.1%増)、40歳代が23.4%(同7.2%増)と20歳代~40歳代が増えている。高齢者の割合は平成25年度に比べ減少しているが、今後も低層住宅工事に携わる作業者の高年齢化がさらに進むことが見込まれるため、40歳代以上の災害発生比率の増加が懸念される。
[月別・曜日別・時間別]
「月別」では、3月が11.5%(前年比3.1%増)、5月が7.3%(同2.4%増)・6月が9.8%(同3.5%増)・8月が10.3%(同2.1%増)と災害発生率が増加した。工事が集中する年度末の繁忙や、例年にない早い時期の猛暑が原因と推測され、年々早期の熱中症対策が必要となる。一方、9月が6.7%(同5.1%減)・10月が5.9%(同1.4%減)・11月が8.8%(同1.6%減)・12月が6.7%(同3.1%減)と災害発生率は減少している。「曜日別」=月曜日が16.5%(前年比1.5%減)で微減、水曜日が13.4%(同4.4%減)で減少したが、火曜日が18.2%(同0.9%増)と金曜日が16.9%(同0.6%増)で2年連続の増加。また土曜日が14.8%(同3.4%増)で2年ぶりに増加した。月曜日から金曜日の災害発生率のばらつきはより少なくなり、平均化してきた。「時間帯別」=前年と比較すると午前中の災害発生率が3.5%増加し、午後は2.7%減少した。災害が増加した午前8時以前の7.5%(前年比1.2%増)ならびに同11時の15.9%(同3.5%増)を考慮すると作業前の準備不足や、昼休み前の作業者の目に見えない「疲れ」や「油断」に対する認識・配慮が必要となる。
【問合先】環境安全部 03-5275-7251
〔URL〕http://www.judanren.or.jp/proposal-activity/chosa/file/h26_roudousaigai.pdf
【問合先】(一社)住宅生産団体連合会 環境安全部03―5275―7251