令和3年度国土交通省税制改正要望事項
国土交通省は、「令和3年度国土交通省税制改正要望事項」を明らかにした。住宅・土地税制関連の主な内容は、以下のとおりである。
[日本経済の再生]
(ウィズ/ポストコロナ時代の活力ある日本経済の実現)
土地に係る固定資産税の負担調整措置等の延長と経済状況に応じた所要の措置
【特例措置の内容】
[固定資産税・都市計画税]
3年に一度の固定資産評価替え(※)による、地価上昇地点における税負担の上昇が緩やかなものになるよう、上昇幅を一定範囲に抑える等の土地の固定資産税等の負担調整措置等。
※令和3年度評価替えは、令和2年1月1日時点の地価公示に基づき実施され、これを基に3年間課税される。
【要望】
・現行の負担調整措置等を3年間(令和3年4月1日~令和6年3月31日)延長する。
・上記の延長をした上で、経済状況に応じて所要の措置を講じる。
住まいの質の向上・無理のない負担での住宅の確保
【要望】
・買取再販事業者が既存住宅を取得し一定のリフォームを行った場合の特例措置を延長。
・新築のサービス付き高齢者向け住宅供給に係る特例措置を延長。
・マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正法の施行に伴い、これに関連する税制上の支援措置を新設・拡充。
・その他、今後の経済情勢等を踏まえ、所要の措置を検討。(住宅投資の波及効果にかんがみ、これまでの措置の実施状況や今般の新型コロナウイルス感染症拡大及びそのまん延防止のための措置による影響を含めた今後の経済情勢等を踏まえ、必要な検討を行い、所要の措置を講じる。
(不動産市場の活性化によるデフレ脱却)
土地等に係る流通税の特例措置の延長(登録免許税・不動産取得税)
【要望】
(1)土地の所有権移転登記等に係る登録免許税の税率の特例措置の適用期限を2年間(令和3年4月1日~令和5年3月31日)延長する。
(2)土地等の取得に係る不動産取得税の課税標準及び税率の特例措置の適用期限を3年間(令和3年4月1日~令和6年3月31日)延長する。
Jリート及び特定目的会社が取得する不動産に係る特例措置の拡充・延長(登録免許税・不動産取得税)
【特例措置の内容】
Jリート及び特定目的会社が取得する不動産について、以下の措置を講じる。
[登録免許税]
移転登記に係る税率を軽減。(本則2%→1.3%)
[不動産取得税]
課税標準から3/5控除。
【要望】
・現行の措置を2年間(令和3年4月1日~令和5年3月31日)延長する。
・不動産取得税の適用対象に保育所を追加する。
不動産特定共同事業において取得される不動産に係る特例措置の拡充・延長等(登録免許税・不動産取得税)
【特例措置の内容】
特例事業者等が取得する不動産について以下の措置を講じる。
[登録免許税]
税率軽減(移転登記:2%→1.3%、保存登記:0.4%→0.3%)。
[不動産取得税]
課税標準から1/2控除。
【要望】
・現行の措置を2年間(令和3年4月1日~令和5年3月31日)延長する。
・対象用途に保育所を追加するなど、一部要件の見直しを行う。
[豊かな暮らしの実現と地域の活性化]
(都市の競争力・魅力の向上と土地の有効活用の推進)
地域福利増進事業に係る特例措置の延長(固定資産税・都市計画税)
【特例措置の内容】
[固定資産税・都市計画税]
地域福利増進事業の用に供する一定の土地及び償却資産について、課税標準を5年間2/3に軽減する。
【要望】
現行の措置を2年間(令和3年4月1日~令和5年3月31日)延長する。
(住まいの質の向上・無理のない負担での住宅の確保)
買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置の延長(不動産取得税)
【特例措置の内容】
現行、買取再販で扱われる住宅に係る不動産取得税(事業者の取得に係るもの)ついて、以下のとおり減額。
[住宅部分]
築年月日に応じ、一定額を減額。
[敷地部分]
一定の場合(※1)に、税額から一定額(※2)を減額。
※1 対象住宅が「安心R住宅」である場合又は既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入する場合。
※2 150万円又は家屋の床面積の2倍(200m2を限度)に相当する土地の価格のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額。
【要望】
現行の措置を2年間(令和3年4月1日~令和5年3月31日)延長する。
サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長(不動産取得税・固定資産税)
【特例措置の内容】
[固定資産税]
5年間、税額を1/2~5/6の範囲内で市町村が条例で定める割合を軽減(参酌標準:2/3)。
[不動産取得税]
・家屋:課税標準から1,200万円控除/戸。
・土地:税額から一定額(45,000円、又は住宅の床面積の2倍(200m2を限度)に相当する土地の価格に税率を乗じて得た額のいずれか多い方)を軽減。
【要望】
現行の措置を2年間(令和3年4月1日~令和5年3月31日)延長する。
マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正に伴う税制上の所要の措置(所得税・法人税・登録免許税・住民税・事業税・不動産取得税)
【要望】
(1)マンション建替事業
[不動産取得税]
・組合が取得する特定要除却認定マンション及びその敷地に係る課税の非課税措置
(2)マンション敷地売却事業
[所得税・法人税・法人住民税・個人住民税・事業税]
・区分所有者が組合に敷地等を買い取られる場合の長期譲渡所得に係る軽減税率(所得税・個人住民税)及び重課免除(法人税・法人住民税・事業税)
・区分所有者が組合に敷地等を買い取られる場合の譲渡所得の特例措置(所得税・法人税・法人住民税・個人住民税・事業税)
・移転等の支出に充てる借家人補償金の総収入金額への不算入措置(所得税・個人住民税)
[登録免許税]
・組合が受ける分配金取得手続開始の登記の非課税措置
・組合が売渡請求により取得する敷地利用権・区分所有権の取得の登記の非課税措置・権利消滅期日の特定要除却認定マンション及びその敷地に関する登記の非課税措置
[不動産取得税]
・組合が取得する特定要除却認定マンション及びその敷地に係る課税の非課税措置
(3) 敷地分割事業
[所得税・法人税・法人住民税・個人住民税・事業税]
・敷地権利変換を受けて区分所有者が敷地等を取得した場合において、従前資産の譲渡がなかったものとみなす措置
※グループ法人税制の適用に係る所要の措置も含む。
・清算の際に生じる区分所有者の譲渡所得に係る非課税措置
[登録免許税]
・組合が受ける敷地権利変換手続開始の登記の非課税措置
・敷地権利変換による敷地の権利変動に係る登記の非課税措置
[不動産取得税]
・敷地権利変換によって区分所有者が取得した敷地等に係る課税の非課税措置